弁護士必見!法律事務所のホームぺージ原稿作成方法を解説!
法律事務所のホームページを作成するときには「原稿」が必要です。しかし弁護士の先生方は「どのようにホームページ原稿を書けばよいかわかりにくい」「準備書面や論文なら書けるけれど、ホームページの文章やコラムはハードルが高い」と感じておられるのではないでしょうか?実は士業事務所のホームページ原稿やブログ、コラムの書き方には、裁判書面などの法律文章とは異なるテクニックや注意点があります。今回は、法律事務所におけるホームページ原稿の作成方法を解説いたします。 |
1.法律事務所におけるホームぺージ原稿の重要性
「事務所のホームページ原稿なんて、そんなに重要じゃないのでは?」
「必要なこと、法律の説明が書けていればそれで良いのでは?」
そう考える先生方もおられます。
しかしホームページの文章は、集客のために非常に重要です。なぜならネット上の見込み客が初めて接するのは先生のホームページであり、初めて読むのは先生の原稿だからです。
読んだ人を引き込むような文章、説得的な文章が書いてあれば「問い合わせてみようかな…」と思いますが、わかりにくい文章、とっつきにくい印象の文章であれば離脱して別の事務所を探してしまいます。
先生のホームページを訪れたお客様が、確実に先生に問合せをしたくなるような魅力的な文章を書くことが大切です。
また文章が適当なサイトはグーグルの検索エンジンによる評価も低くなり、検索順位を下げられてしまいます。
そうなると、弁護士を探しているお客さんの目に入らなくなり、ホームページへのアクセス自体が低下し、集客は困難となります。
ホームページによる集客を成功させるには、原稿の質及び内容が非常に重要です。
2.原稿作成方法
法律事務所で原稿を作成するとき、所属弁護士が書くケースと外注するケースがあります。
外注するときには、原稿作成専門の会社や個人のライターに依頼します。ホームページ製作会社が法律文書に対応しているライターを紹介するケースもあります。
所属弁護士が書く場合、当然法律的な素養がありますし事務所内部での情報共有などもできているのであまり問題は発生しません。
一方、外注ライターを使う場合には、そのライターの資質がまったくわからないので注意が必要です。
基本的に、弁護士、行政書士やロースクール卒など、何らかの素養がないと、法律文書の作成は困難と考えた方が良いです。
確かに今は、一般ライターが「法律ライター」などと名乗って法律文書を書いている事例が多数あります。しかしこのような法律の素養がまったくない人が書いた文章が上がってきたら、弁護士の先生による「全面的な書き直しが必要」となって二度手間になるケースも多々あります。
またホームページは事務所の顔になるものですから、一般ライターの書いた質の低い記事を載せると事務所の印象が著しく低下します。
内容が適当・不正確な記事が載っているとグーグルの評価も低くなって検索順位も下げられます。
法律文書を依頼するならば、必ず何らかの法律資格を持ったライターを選ぶべきです。安いからと言って一般ライターに依頼すると、結局はお金を無駄にする結果になります。
3.原稿のリスク管理について
原稿を作成して公開する際には、リスク管理についても体制を整えておく必要があります。
3-1.職員や外注に書かせた場合のリーガルチェック
まず事務所の職員や外注ライターに原稿を書かせた場合には、弁護士によるリーガルチェックが必須です。
特に弁護士以外のライターが書いた原稿には大幅な修正が必要なケースもあるので注意が必要です。見落としたまま公開すると、世間からは「弁護士事務所が間違った情報を載せている」と思われてしまいます。
3-2.著作権の管理
原稿を外注した場合、著作権の管理も重要です。必ず納品とともに著作権の譲渡を受け、将来的に事務所内で修正・改変を自由にできるようにしておきましょう。法改正があったときなどには事務所内で加筆修正できた方が便利だからです。
3-3.最低限間違ってはいけない箇所を決めておく
原稿を外注するときには、最低限書いてほしいことや間違ってほしくないことを先に指摘しておくとスムーズです。
たとえば「高次脳機能障害について」というテーマの場合「高次脳機能障害の症状や認定される後遺障害の等級、慰謝料を増額する方法や特有の問題点について書いてください。」などと依頼します。ライターが専門家であれば、この程度の依頼文でも意図が伝わります。
なお一般ライターの場合には、最低限の指摘では適切な記事作成が難しくなる可能性もあるのでお勧めではありません。
3-4.事務所の方針と違うことを書かれた場合
記事を外注した場合、内容が間違っていなくても事務所の方針と異なる処理方法が書かれるケースもあります。
その場合には修正を求めても良いですが、事務所内で処理をしてしまうのも1つです。ケースに応じて都合の良い方法を選択しましょう。
またそういった齟齬が起こらないように、当初から「事務所の方針は~なので、ここはこのように書いてほしい」と伝えておくとスムーズです。
3-5.公開後に法律や制度改正があった場合
法律や制度は、時勢の流れによってどんどん変わっていきます。いったん原稿を公開しても、その後法制度が変わったらそれに対応した内容に変更せねばなりません。
ご自身で書かれたものであっても外注したものであっても、公開している情報が不正確になったら速やかに修正しましょう。
古い情報を放置しておくと、事務所全体に対する信用性が損なわれてしまいます。
4.ホームぺージの原稿の種類
法律事務所の原稿には「業務紹介のサイト原稿」と「コラム(ブログ)」があります。
業務紹介のサイト原稿は、「離婚」や「交通事故」「企業法務」「顧問弁護士」などの取扱い業務分野を紹介する文章であり、サポート内容や弁護士に依頼するメリットなどの概要を書いていきます。
一方コラムは、高次脳機能障害や養育費を増額させる方法など、個々のトピックを取り扱って、現に何らかのトラブルを抱えた人の目にとまるようにするものです。
これらの両方を組み合わせることによって効果的に集客できるので、どちらの原稿も非常に重要です。
4-1.業務紹介ページの書き方
業務紹介のページでは、「交通事故」「労働問題」「離婚・男女問題」など業務ごとに説明ページを作成していきます。
それぞれの分野でどのようなトラブルが多いのか、どうやって解決するのか、弁護士が必要な理由を書いていきましょう。
ただ、それだけでは多の法律事務所と似たりよったりな内容になってしまうケースもあります。そのようなときには、先生の事務所でその分野に取り組むときにどのようなことに特に注意しているか、書いてみましょう。
また先生が特に力を入れておられる分野については「この分野の取扱いが特に多い」と書いたり、なぜその分野に注力しているのか、その理由ややりがいなどを書いたりするのもお勧めです。
最近あった解決事例やたとえ話などを盛り込んでも独自性を出しやすくなります。
業務分野についての説明文章は、見込み客に直接問合せを促すためのものなので、読みやすくわかりやすくすることが重要です。難しい言葉が並んでいたり、細かい話が長々と書いてあったりすると離脱の危険が高まります。
4-2.コラム記事(ブログ)について
事務所HPと併設するブログについて、取扱いテーマに悩む方がおられます。
基本的に普段のクライアントが抱えているトラブルの解決方法の説明をするのが良いでしょう。また、お客様が先生のところにご相談に来る前に抱えていた悩みの解決方法や、トラブル予防方法も有効です。
たとえば財産分与であれば、「財産分与の方法」「財産分与の対象になるもの」「財産分与で相手ともめたときにはどうするか」「相手が支払ってくれないときどうするか」「住宅ローンがある場合の財産分与方法」「離婚後に財産分与請求できるか」「相手が財産を隠している場合の対処方法」など、いろいろなトピックがあります。こうしたものを拾い上げて、1000~3000文字程度のブログ記事をどんどん作っていきましょう。
弁護士の取り扱い分野には、交通事故や労働問題、離婚、借金問題、企業法務などいろいろあります。
先生が特に集客したい分野、そして実際に先生の事務所の地域における検索ボリュームの高い分野の記事を書いていくと、効果的に集客できます。
5.法律事務所で「読まれる原稿」のテクニック
最後に法律事務所の原稿で「読まれる」ためにはどうすれば良いか、ご説明します。必要なのは以下の3つだけです。
5-1.専門用語を使わない
弁護士の先生は、無意識のうちに日頃から専門用語を使っています。しかし一般の方は専門用語を知りません。専門用語どころか一般の少し難しい言葉や古い言葉すら知らない方が多数です。
サイト文章やコラムの文章に専門用語を連ねるのはNGです。どうしても専門用語を入れるときには「~とは~ということです」という注釈を入れましょう。
世の中の人は、みなさんが弁護士のように高等教育を受けて司法試験に合格しているわけではありません。「中学生でもわかるくらいの文章」を意識すると良いでしょう。
5-2.細かい見出し設定
特にコラムを書くときの注意点ですが、「細かい見出し設定」を意識しましょう。
先生方は、準備書面を書くときにはしっかり見出し設定をするのに、コラムのときにはなぜか見出しを余り設定せずに文章をだらだらと続けてしまうことがあります。
しかし見出しのない文章は非常に読みにくくなりますし、何が言いたいのかまとまりにくいものです。
準備書面を書くときと同じように、コラムを書き始める前にはまず見出しの「構成」を作り、それに肉付けしていく感じでコラムを完成させていきましょう。
5-3.1記事1テーマ、記事を読む「ターゲット」を意識する
弁護士の先生方が陥りがちな問題として、「正確に書かねばならない」と考えるあまり1つの記事に情報を盛り込みすぎるケースがあります。
たとえば刑事事件であれば、痴漢したときにその場で逮捕されることも後日逮捕されることもありますし、見つかっても解放されることもあります。逮捕されてすぐに在宅捜査に切り替わることもありますが身柄捜査になることもあります。起訴されることもあれば不起訴になることもあり、起訴されるとしても略式か通常起訴かがあります。無罪主張か認めるかによっても対応が異なります。罰金刑か懲役刑かという問題もありますし、執行猶予がつくかどうかの問題もあります。
このようなことをすべて同じトーンで盛り込んでいくと、まるで痴漢について総合解説した辞書のようになってしまい、分量がやたら膨大になって非常にわかりにくくなります。
記事を書くときには「どういう人をターゲットにしているのか」を考えて、「その人の悩みを解決する」ことにフォーカスしましょう。
たとえば「痴漢で逮捕された初犯の人やその家族」が想定される読み手であれば、痴漢による逮捕後の流れと「初犯のときの量刑の相場」や「不起訴になる方法」をメインに書きます。
否認している人のための記事は認めるケースとは別に、1記事を別に作成します。
このように、「1記事1テーマ」と「ターゲット」を意識することで、無駄に間延びせずにスッキリとした読みやすいコラムができあがってきます。
法律事務所の文章は、集客のかなめとなる重要な要素です。慣れれば難しくはないので、是非とも上手に文章を作ってホームページの戦略を成功させましょう。
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