弁護士が受ける融資

弁護士事務所の必要経費

弁護士が独立し、事務所を維持するためには、次のような必要経費があります。

  • 事務所の賃料
  • 電気水道光熱費
  • 弁護士会費
  • ホームページの開設と維持
  • 判例や書籍などを集める費用
  • 雑費

さらに事務員を雇うことになれば、給与が発生します。

弁護士会費

馬鹿にならないのが、弁護士会費です。平成22年6月末現在の法務省による資料によると、東京都では日弁連への登録に3万円、弁護士会への入会金などに3万円から6万円の費用が発生します。


さらに日弁連と弁護会を合わせて、毎月5万円弱の負担が発生します。ちなみに、病気などでほとんど業務できなかった場合には、会費を免除申請できます。


もっとも年会費が高額なのは、山口県岩国市部の1,178,400円。一般的に、会員数の少ない弁護士会では会費が高額になると言われています。しかしこの10年間で弁護士の数は激増しているというのに、「会費は高いまま」なのが実情です。


東京弁護士会は、584,400円。第一東京弁護士会と第二東京弁護士会は、それぞれ608,400円。大阪は、530,400円です。全国でもっとも年会費が低額なのは愛知県で、498,000円となります。

法務省による「日弁連および所属弁護士の会費」
http://www.moj.go.jp/content/000077010.pdf

創業融資を受ける

創業融資とは、独立し、お店を開業するために借りるお金のことです。自分で用意することのできたお金で足りなければ、どこからか借りなければなりません。借りる先としては、次の4つがあげられます。

  • 日本政策金融公庫
  • 信用保証協会付き融資
  • プロパー融資
  • 地方自治体の制度融資

日本政策金融公庫

国が100パーセント出資している政策金融機関です。これから事業を始めようとする人や、すでに事業をしている人に必要な資金を融資します。


低金利で、長期に借りられるなど、借りる側にはたいへん有利な融資制度です。開業には倒産のリスクがありますが、日本政策金融公庫では積極的に融資を行っています。


日本政策金融公庫で融資を受ける最大の利点は、原則として無担保無保証人である点です。

日本政策金融公庫のホームページ
https://www.jfc.go.jp/

信用保証協会付き融資

信用保証協会は、弁護士事務所を開業しようとする人が金融機関から資金を調達するときに、保証人となって融資を受けやすくなるようにサポートしてくれる公的機関です。


信用保証協会の保証があれば、民間の金融機関からお金を借りることができます。万が一、お金を返せなくなったとしても、信用保証協会が金融機関に立て替えてくれるからです。ただし、立て替えてくれた信用保証協会に対して返済の義務がなくなるわけではありません。

プロバー融資

プロパー融資とは、信用保証協会をはさまずに、直接金融機関からお金を借り入れる融資のことです。


信用金庫など、民間の金融機関でも創業資金の融資を行っています。しかし倒産のリスクがあるため、プロパー融資を受けるのは簡単なことではありません。

地方自治体の制度融資

中小企業の資金調達などを支援するために、各地方自治体が信用保証協会、金融機関と連携して設けているのが、制度融資です。


原則として、会社所在地の地方自治体の制度融資を利用しなければなりません。融資を受けやすい、金利が安い、元本を返済せずに金利だけを支払う据置期間が長いのが特長です。


一般的に、ほかの融資と比べると手続きが煩雑で、融資までに時間がかかります。

融資を受ける準備

創業融資を受けるには、いくつかの手続きが必要となります。何の準備もなくふらりと金融機関を訪れても、融資は受けられません。


金融機関から資金を融通してもらうには、あなたが弁護士事務所を黒字経営に転換できるということを信じてもらわなければなりません。

自己資金を用意する

自己資金は、お金があればOKというものではありません。まず、あなた名義の通帳があること。次に、あなたが自身が稼いだお金を貯めたものであることを証明する必要があります。


融資してもらうために、いかにもかき集めたようなお金は、金融機関が自己資金として認めてくれない可能性があります。

創業計画書を作成

創業計画書で重要なのは、すべてが具体的であることです。売り上げが右肩上がりの計画書を作っても、根拠がなければそれは白紙と同じです。勤務年数、勤務してきた事務所での役職、担当してきた案件の数、こうしたものが創業計画書にリアリティを持たせます。


金融機関との借入面談では、この創業計画書が厳しくチェックされます。計画書の出来によっては、500万円の借入が必要なのに、300万円の融資しか受けられない。こんなことにもなりかねないのです。

融資の申し込み

弁護士事務所の開業で創業融資を受ける場合、日本政策金融公庫を利用するか、信用保証協会付き融資またはプロパー融資を受けることになります。


それぞれ準備する資料が異なりますので、融資を受ける金融機関で確認しておきましょう。


借入の申し込みに必要な資料と創業計画書を持参し、面談を行います。面談では、創業理由、売り上げの見通し、資金計画、過去の経歴などを質問されます。創業計画書の記載内容や資料をきちんと把握し、自分の言葉で説明することが重要になります。

融資を断られないようにする

日本政策金融公庫と信用保証協会付き融資は、1回で融資を勝ち取るようにしてください。日本政策金融公庫では、「最初の申請から6ヶ月を経過しないと再申請は受け付けない」という原則があるからです。


日本政策金融公庫は、融資する個人の資金管理能力を重視する傾向があります。税金、公共料金、電話料金、金融の信用情報が調査されます。融資を受けるには、絶対にこれらの問題を起こさないようにしましょう。

東京弁護協同組合の融資斡旋制度

弁護士が独立・開業しようとする場合、さらに次の2つの融資斡旋制度を利用することができます。

  • 東京弁護協同組合の融資斡旋制度
  • 地方自治体の制度融資

東京弁護協同組合の融資斡旋制度

東京弁護協同組合(東弁協)では、銀行と提携して組合員に融資斡旋を行っています。


事務所経営に関わる運転資金や設備資金の資金調達に利用できるのは、「事業ローン」です。


融資金額は最高1億万円までですが、1,000万円までは無担保で借りることができます。融資期間は、最高20年以内。無担保融資の場合は、最高5年以内となります。

日本弁護士協会の「弁護士偏在解消のための経済的支援」制度

偏在対応常駐従事務所開設支援(即独型)の場合、融資金額の上限は350万円で、融資期間は7年以内です。この融資の最大の特長は、「金利がない」ということです。

独立・開業のマニュアル

日本弁護士連合会では、1年以内に早期に独立開業する弁護士を対象としたマニュアルを配布しています。

即時・早期独立開業マニュアル(三訂版)
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/legal_apprentice/data/sokuji_soukidokuritumanual.pdf


東京弁護士協会の若手会員総合支援センターでは、東京で若手弁護士が独立開業するためのマニュアルを配布しています。

東京で独立開業する。~独立開業マニュアル東弁版~(第2版)
https://www.toben.or.jp/know/iinkai/wakateshien/pdf/dokuritsukaigyomanual_toben.pdf


この記事は、2018年12月に執筆されました。記事中の情報は、現時点のものです。

 

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この記事を書いた人:茂田徹郎

1993年より、英ロンドンを拠点にヨーロッパの情勢をガイドブックに寄稿。1999年からは米サン・ノゼに駐在、十誌を越える雑誌に米国情勢のコラムやインタビューなどの記事を寄稿。現在は、東京を拠点とし、フリーランスライターとして活動中。著書に「PRISM事件 世界を監視するプログラムとスノーデンの告発」「グーグル非公式ガイド」がある。

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