【再考察】弁護士マーケティングとは?法律事務所のWeb集客とリスティング広告戦略
弁護士数が増え、広告の成果が思うように実感できないと悩んでいる法律事務所は少なくありません。では、今必要な弁護士マーケティングとは一体どのようなものでしょうか。
そこで、本記事では法律事務所のWeb集客とリスティング広告について再考察します。
弁護士業界における「集客構造」の激変とマーケティングの本質
司法制度改革によって法科大学院が設立された2004年以降、法曹人口は増員が続き、弁護士数も増加しています。そのため、弁護士が多く登録する都市部を中心に激しい競争が起きており、集客構造も変化し続けていることをご存じでしょうか。
そこで、本章では現在弁護士が直面している集客構造と、マーケティングの本質について解説します。
「紹介」モデルが抱える脆弱性とは
2000年に弁護士広告は原則自由化されましたが、実務上当初は紹介が中心の集客構造が長く続いていました。
その後、Web検索やスマートフォンの普及により、弁護士選びのプロセスは大きく変化していきます。
今でも紹介は弁護士の「信頼」を担保するため、依頼につながりやすいですが、能動的なコントロールが効かないのと、断りにくいという側面があります。特に数のコントロールが難しいというのは法律事務所運営の上で、不確定要素となります。
デジタル・シフトの実態とは
デジタル・シフトとは、「アナログ(紙・対面・電話など)」中心から、「デジタル(インターネット・アプリ・生成AIツールなど)」へ利用の比重が移っていくことを意味します。
弁護士を探している依頼者は、紹介を受けた後でも「Web上で情報検索」を続ける傾向があります。この時点で、弁護士の情報がわかるHPがない、または古い状態で放置されていることは「信頼がない」というイメージを依頼者側が持つおそれがあります。
特に弁護士への依頼は内容にもよりますが数十万~数百万規模の着手金を用意することも多く、デジタルの情報がないと集客から契約に結び付かないおそれがあります。
弁護士マーケティングとは:法律事務所の集客設計図
弁護士向けのマーケティングとは、単なる「宣伝」を意味するものではありません。本質は「法律事務所が安定して新規依頼を受任できる仕組みを設計すること」であり、言い換えるなら、集客の設計図です。
弁護士は本来、法律実務に集中すべき専門職です。だからこそ、マーケティングは思いつきではなく「仕組み」で効率的に回す必要があります。マーケティングを広告費用ではなく、弁護士が本来注力すべき執務時間を捻出し、売上を生むための投資として捉えることが重要です。
法律事務所は数名の弁護士と事務員で運営することが多く、集客・広告専門を選任スタッフで行うことは難しいでしょう。そこで、「自動で案件が舞い込むシステム」を作っておくことが大切です。
関連記事:生成AIの時代に考える法律事務所の集客にホームページが必要な理由
【戦略設計】点ではなく「線」で結ぶ、弁護士マーケティングの全体像
弁護士マーケティングにはいろんな方法があり、SEOやリスティング広告などいろんな施策がありますが、実際に成果を出すためには多数の施策に飛びつく前に、まず「勝てる型」を理解する必要があります。
特に法律事務所のWeb集客は「施策の良し悪し」だけで決まるのではなく、行っている施策が1つの導線としてつながっているかで成果が大きく変わるからです。そこで、押さえておきたい弁護士マーケティングの全体像を3つにわけて解説します。
1.Web集客の3要素とは
法律事務所のWeb集客は、大きく分けて次の3要素で成り立っています。
- 認知(広告・SEO):自身の法律事務所の存在を知ってもらう
- 信頼(HP・実績):依頼してよい事務所と判断させる
- 行動(CV・問い合わせ):相談予約・問い合わせにつなげる
これら3要素は単独で機能するのではなく、連動して初めて成果につながるという点です。認知されなければ信頼の獲得や問い合わせにはつながりません。
また、ホームページが立派で信頼感を感じさせる内容でも、広告やSEOが弱ければそもそも認知や問い合わせにはつながりません。
Web集客とは「認知・信頼・行動」の流れを、事務所側が意図的に設計することが大切です。
2.なぜ単発の施策(サイト制作だけ、広告だけ)は失敗するのか
弁護士業界におけるマーケティングの失敗例として、単発の施策だけが行われていることが挙げられます。
「ホームページを作れば集客できる」「広告を出せば問い合わせが増える」といった発想です。しかし、「認知・信頼・行動」の導線設計がないまま単発の施策だけを実行すると、集客はうまくいきません。
これは例えるなら、ザルで水を汲むような状態です。広告でアクセスを集めても、ページ内に相談や問い合わせにつながる導線がなければ途中で読むことを止めて離脱されてしまいます。SEOで流入が増えても、依頼の料金や実績が分かりにくければ「不安」で離脱されるおそれもあります。
単発施策が失敗するのは、単発で行った施策そのものが悪いのではなく、集客導線が一本の線としてつながっていないからです。
3.ターゲット選定と受任分野の絞り込みが必要
Web集客で成果を出すためには、ターゲットと受任分野を明確にすることも必須です。特にネットでは、「何でも対応できます」という法律事務所は埋もれやすくなります。
なぜなら法律相談を検討している検索ユーザーは「離婚と養育費に相談をしたい」「相続で兄弟ともめている」など、具体的な悩みを抱えており、問題を解決できる専門家を探しているからです。
検索する際には「離婚 弁護士」「相続 弁護士」のように検索しており、ヒットして開いたホームページ上に専門性や解決実績が見えなければ、相談者は「ここに依頼する理由がない」と判断してしまいます。
だからこそ、受任分野を絞り込み、どのような案件が得意なのか、過去に豊富な解決実績はあるかなど明確に打ち出しておく必要があります。
分野を絞ることは、機会損失のように感じるかもしれませんが、Web上ではブランディング確立の考え方で「勝つための戦略」と言えるでしょう。少なくてもどの分野に注力しているという案内は必要です。
リスティング広告:最短最速で「受任」を勝ち取る実践的運用術
弁護士マーケティングにおいて、最短最速で成果を出しやすい手法がリスティング広告(検索連動型広告)です。本章ではリスティング広告の効果・実践的な運用術をわかりやすく説明します。
※ここでは基本的に個人事件(個人向け)を念頭に説明いたしますが、企業法務(法人向け)の場合は、別の施策が有効な場合があります。
「今すぐ相談したい層」の心理を突く
SEOは中長期の資産形成であるのに対し、リスティング広告のユーザーは「弁護士を探している」層の比率が比較的高いので、開業直後や新規分野の立ち上げ期において特に有効な集客手段となります。
ただし、弁護士業界のリスティング広告は競争が激しく、クリック単価やCPAが高騰しやすい領域でもあります。成果を出すには、初期によく練られた設定をすることに加え、運用した結果のレビューと改善が必ず必要です。
弁護士業界特有のリスティング攻略法とは
結果のレビューでサンプルが少ないと判断のしようがないので、広告費は少ないより多い方がよいですが、最初からやたらと費用を使うとCPA(顧客獲得単価)が上がってしまい、費用対効果が悪くなってしまう可能性があります。
弁護士業界の広告運用では、「どのキーワードで広告を出すか」も慎重に検討する必要があります。
ツールを使えばキーワードの提案はしてくれますが、運用後に登録したキーワードの検索クエリの評価・除外などは継続的に進めなければいけません。
リスティング広告の場合、結果・パフォーマンスの評価と改善が重要で、広告を続けられるかどうかの分かれ道となります。
信頼性の二重構造
リスティング広告の運用において、LP(ランディングページ)をどのページにするかと、ページの完成度の高さが重要となりますが、弁護士業界の場合はLPだけでは受任に至らないことが多い点には注意が必要です。
ユーザーはLPを読んで興味を持った後、「事務所概要」や「弁護士プロフィール」へ移動し、信頼できる事務所かどうかを確認する可能性が高まります。
つまり、広告からLPで興味を持ったら、法律事務所のホームページを確認した上で問い合わせに至る「二段階構造」になっているのです。
真新しいLPを用意しても法律事務所のホームページの情報が薄かったり、古くて料金も不明瞭な場合は問い合わせに至らないおそれがあります。
関連記事:信頼性の確保(テーマサイトとコーポレートサイトの併用)
CPA(顧客獲得単価)高騰への対策
弁護士広告は競合が多く、クリック単価が高い分野が少なくありません。そのため「広告を出したのに全く儲からない」という事態も起こり得ます。
CPA高騰への対策として重要なのは、問い合わせ件数ではなく、受任までを見据えた運用です。高単価案件が取れる分野に集中する、ターゲット地域を絞り、無駄なクリックを減らすなどの工夫を行う必要があります。
弁護士広告規程の把握:ギリギリを攻めない
弁護士の広告運用では、成果だけでなくルールの把握も重要です。強い言葉や切り取り的な短いフレーズに反応しやすい世の中の流れですが、ルールの変更もあるかもしれませんので、弁護士の広告は禁止事項の順守はもとよりギリギリを攻めないで慎重に作成するという方針で向き合うのが望ましいです。Googleなどの媒体社のほうでも登録できないキーワードなど随時変更を掛けられますので、一度設定して放置しないことも重要です。
弁護士等の業務広告に関する規程(日本弁護士連合会)
業務広告に関する指針(日本弁護士連合会)
SEO対策とコンテンツ戦略:中長期で「事務所の資産」を築く
即効性があるリスティング広告は魅力的ですが、その一方で長期的な運用には広告費の支出がかさむというデメリットもあります。そこで、中長期的な目線で資産を築くために、SEO対策とコンテンツ戦略の必要性を説明します。
広告費依存からの脱却
リスティング広告は即効性がある一方、出稿を止めれば問い合わせも止まります。そこで重要になるのがSEO対策です。SEOで検索上位を獲得できれば、広告費をかけずに安定して見込み相談者を集められるため、中長期的にCPAを大きく下げられます。SEOは単なる集客施策ではなく、事務所の経営を支える「資産型集客」の基盤となるのです。
地域キーワード×分野キーワードの攻略
多くの法律事務所は多支店型ではないため、SEOで狙うべきは全国規模のビッグワードではなく「地域名+分野名」の組み合わせです。
例えば「離婚弁護士 横浜」「相続 弁護士 横浜」などは、相談意欲が高く成約率も高い傾向があります。勝てる土俵で確実に上位を取ることが、SEO成功の王道です。
コラムSEOの深掘り
法律相談を検討する方は不安を抱えているため、相談を依頼する前に情報を丁寧に収集する傾向があります。
専門的な知識を持つ弁護士が書いた記事は、Googleの評価基準であるE-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼性)に適合しやすいため、高く評価され、検索結果の上位に表示される可能性が高まります。弁護士がルールに基づき署名付きで書いた記事は長期の視点で財産となります。大手事務所に対抗する弱者の戦略として弁護士がコラムによるSEO対策に注力することは重要です。
»Googleの評価基準であるE-E-A-Tについてはこちらを参照ください。
内部構造とUX(ユーザー体験)
SEOで成果を出すためには記事だけでなく、サイト構造と使いやすさも重要です。スマホでも見やすいように設計し、料金や実績の分かりやすさ、内部リンク設計なども整っていることで、Google評価とユーザー満足度が同時に高まり、安定した上位表示につながります。
関連記事:弁護士・法律事務所のSEO対策
関連記事:SEOを前提としたホームページ制作
【シナジー最大化】広告×SEOの併用戦略と継続的改善(PDCA)
弁護士マーケティングで安定的に成果を出すには、広告かSEOかの二択ではなく併用する「ハイブリッド戦略」が効果的です。本章ではシナジーを最大化させるための方法を解説します。
最強の布陣「ハイブリッド戦略」
- リスティング広告は即効性があり、SEO対策より短期間で問い合わせを獲得できる可能性があります。
- SEOは成果が出るまで時間がかかるものの、積み上がれば広告費を抑えながら集客できる資産になります。
また、リスティング広告はマーケティングリサーチとしての位置付けも大きいので、どのエリアからどの年齢層でいつ相談が来たという結果をSEO対策に反映させることもできますので、両輪で進むとより効果的です。
開業・独立期のロードマップ
開業直後はどうしても法律事務所自体の実績が少なく、SEOだけで集客を成立させるのは難しい傾向があります。
そこでまず広告で問い合わせを獲得し、実績を積み上げることが重要です。その間にSEO記事を継続的に追加し、検索流入の土台を育てていけば、徐々に広告依存を減らしながら安定経営へ移行できます。
短期はリスティング広告、長期はSEOという役割分担が、独立期のロードマップです。
データレビューが成果を左右する
広告やSEOの成果を判断しながら集客を高めていくためには、問い合わせ数だけを見ることはおすすめできません。
「各広告・記事からの受任率」「受任できた単価」「利益率」まで追うことが重要です。問い合わせが増えても受任につながらなければ意味がありません。
逆に少ない問い合わせでも高単価案件を安定して受任できれば成功と言えます。定期的に得られたデータをレビューし、キーワード・ページ・導線を改善し続けるPDCAが成果につながります。
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まとめ
当社では無料オンライン面談を行っております。開業前・開業後問わず、有益な情報を望まれる弁護士の方はお気軽にご相談ください。
次のようなお悩みが一つでも当てはまる方は、今の集客設計を見直すタイミングかもしれません。
- 長期の視点でWeb集客に臨みたい
- 問い合わせ数はあるが、単価・質が安定しない
- SEOに取り組んでいるが、成果が出る気配がない
- 紹介頼みの集客から脱却できていない
- 集客や広告に時間を取られ、本来の執務に集中できない




















