法律事務所(弁護士)の企業法務ホームページ制作の考え方
企業法務ホームページの課題と可能性
企業法務の分野は、弁護士にとって安定した収益源になる可能性が高いものの、インターネット集客の特性上、個人向けの相談が主流になりがちです。そのため、Webマーケティング単独では限界があることを理解し、リアルなネットワーク構築と並行してホームページを運営することが成功の鍵となります。
特に企業の顧問契約を増やすためには、直接の紹介やリアルな関係構築が不可欠です。その一環として、以下のような戦略を採ることが重要です。
1. 税理士との連携
中小企業が専門家を探す際、一番相談しやすいのは税理士です。税理士との接点を持つことで、企業法務案件の紹介を受ける機会を増せる可能性があります。例えば、商工会議所、BNI、各種ビジネス交流会を活用し、税理士との接触機会を増やし、関係を構築すると有益です。
2. 会社設立のニーズを活かした連携
弁護士に会社設立を依頼したいというニーズが一定数存在します。これを活用し、企業の設立支援を受任した場合、税理士を紹介することで双方向の連携が生まれ、長期的な関係を築きやすくなります。
3. 地域コミュニティへの積極的な参加
ライオンズクラブ、ロータリークラブなどの団体に参加することで、企業経営者との接点を広げることができます。これらの活動を通じて、企業の法的支援の必要性を伝え、顧問契約の獲得につなげることができます。
「ブティック型」の企業法務ホームページの有効性
通常の企業法務ホームページは、「何でも対応できます」と広くアピールする傾向がありますが、より効果的なのは特定業務や業種に特化した戦略です。
特に地方では、「幅広い企業法務に対応できる」というブランディングが一定の効果を持ちます。
例えば、都会の弁護士から地元の弁護士へ切り替えたい企業は、地域密着型の弁護士を求めています。こうしたニーズを満たせるよう、地元企業向けの総合的な企業法務サイトを設計すると効果的です。
一方、大都市圏(東京・大阪・名古屋など)では、弁護士の数が多く競争が激しいため、特定業務・業種への一点突破型アプローチが有効です。
例えば、
- IT企業・飲食業・医療業界など業界に特化した法務サービス
- 契約書作成・チェック/契約トラブル専門の企業法務サイト
- 労務トラブルを全面に出した企業法務サイト
- カスハラを切り口にした企業法務サイト
こうしたターゲットを絞り込んだサイトを構築することで、競争環境の中で差別化を図れます。今後都市部の企業法務サイトはこの方法が増えると予測されます。
企業法務専門ポータルサイトの可能性
企業法務に特化したポータルサイトは他のテーマと比較すると少なく、企業が弁護士を探す際には、ポータルサイトを利用するケースもございます。しかし、企業法務だけのポータルサイトというのはあまり存在しませんので、ユーザーは弁護士が多数登録している大きめのサイズのポータルサイトで、企業法務の弁護士を探すということになります。弁護士は一般民事も含め様々な分野で登録している内容になるかと思いますので、探しにくさとアピール度の低さが出てしまうのが否めません。
- 競争が激しく、各弁護士のアピール度が低くなりがち
- 弁護士の登録ジャンルが広いため、企業法務専門の弁護士を見つけづらい
今後は、企業法務特化のポータルサイトも増加し、企業法務分野の専門性を強調する方向へ進むことが考えられます。個々の弁護士が独自のブランディングを強化し、ターゲット企業との直接的な接点を持つためのツールとして活用される可能性もあるでしょう。
まとめ
企業法務ホームページの設計では、以下の要素を重視することが重要です。
- Web集客だけに頼らず、リアルな関係構築を併用する
- 税理士との連携を強化し、企業顧問契約の紹介を得る
- 地域密着型のネットワーク(商工会議所・交流会・コミュニティ活動)を活用する
- 都市部では業務・対応業種を絞り込んだブティック型サイト戦略を取る
これらの戦略を組み合わせ、企業法務に特化したホームページを設計することで、オンラインプレゼンスを高め、顧問契約の獲得につなげることができます。企業法務市場の競争が激化する中で、専門性を活かしたブランディングが今後ますます重要になっていくでしょう。
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