法律事務所(弁護士)の労働問題ホームページ制作の考え方
労働問題を扱う法律事務所のホームページの構築にあたっては、ターゲットとなる相談者の属性を正しく認識し、それに応じた情報提供を行うことが重要です。特に、企業側の相談を中心に受けたい場合、その戦略を慎重に練る必要があります。
経営者側の相談が少ない労働問題ホームページ
労働問題を専門に扱うホームページを運営する弁護士の中には、「できれば会社側の相談を増やしたい」と考える方が多くいます。しかしながら、現状では企業側からの直接相談は少なく、多くの案件が労働者側からの問い合わせによるものです。この理由の一つに、企業側が労務管理に関して社会保険労務士や税理士を活用していることが挙げられます。企業が労働問題を抱えた際、まずは顧問契約を結んでいる専門家に相談し、そこから弁護士に引き継がれるケースも多くなります。したがって、企業側の相談を直接獲得するための施策を講じる必要があります。
社会保険労務士・税理士とのコネクション構築
企業の労働問題相談は、社会保険労務士や税理士経由で弁護士に依頼されるケースも多くなります。これらの専門家は顧問先の状況を細かく把握しているため、問題が発生した際に弁護士と連携しやすい立場にあります。
そこで、以下の方法で社会保険労務士・税理士との関係構築を進めることが有効です。
- 情報提供の強化:定期的にセミナーや勉強会を開催し、労働法の最新情報を共有する。
- 無料相談窓口の設置:ホームページ内に、社会保険労務士・税理士向けの無料相談フォームを設け、気軽に相談できる環境を提供する。
- 共著記事やコラムの作成:社会保険労務士や税理士と共同で労働問題に関する記事や解説コンテンツを作成し、業界内の認知度を高める。
このように、社会保険労務士・税理士向けにアプローチし、長期的な関係を築くことで、企業側の相談が継続・安定的に増える可能性があります。
労働問題ホームページの位置づけ
労働問題テーマサイトを運営する場合、大きく分けて以下の3つの方向性を考えることができます。
- 企業側、労働者側の両方から相談を受ける
- 労働者側をメインに相談を受ける
- 企業法務の一環として企業側からの相談をメインに受ける
検索エンジンによる集客を考えた場合、インターネットユーザーの検索行動は個人の相談が圧倒的に多く、企業側をメインにするホームページは集客に苦戦しやすい傾向にあります。労働者側をメインに相談を受ける場合、問い合わせ件数は多くなり、インターネットからの集客は比較的スムーズに進むでしょう。
一方で、企業側を中心に受ける場合は、問い合わせ数は減りますが、相談から顧問契約へと発展する可能性が高いというメリットがあります。このため、短期的な案件獲得よりも、長期的な関係を構築することを視野に入れて戦略を立てることが重要です。
企業側の相談を増やすための施策
企業側の相談を増やすためには、労働問題の実績を積みながら、リアルな営業活動を並行して進めるのが効果的です。特に以下の方法が考えられます。
- 企業向けの専門コンテンツを充実させる:就業規則の作成・改定、問題社員対応、解雇・退職勧奨、労使交渉など、企業側が関心を持つ情報を充実させる。
- SEOとリスティング広告の使い分け:企業側の相談はリスティング広告で獲得しつつ、長期的にはSEO対策を強化し、検索流入を増やしていく。
- リアルな営業活動:地元の商工会議所や経営者向けネットワークに参加し、直接アプローチを行う。
- 企業向けセミナー・研修の開催:労務問題に関するセミナーを定期開催し、潜在的な顧客を増やしていく。
まとめ
法律事務所の労働問題ホームページをどのように運営するかは、相談を受けたいターゲット層によって大きく異なります。労働者側をメインにする場合は、インターネットによる集客を重視し、企業側をメインにする場合は、リアルなネットワークも強化することが求められます。
企業側の相談は、単発の案件よりも顧問契約につながる可能性が高いため、長期的な視点で営業戦略を練り、社会保険労務士・税理士との関係構築を進めることで、安定した案件獲得につなげることができます。
企業側の相談を積極的に獲得したいと考える事務所が多いかと思いますが、特に開業時には他の分野とのバランスを考慮しつつ、長期的な視点で取り組む姿勢が求められます。
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