内部リンクで評価を集めるサイト設計【法律事務所・弁護士向けSEO】
法律事務所や弁護士のサイトでは、「相談フォーム」や「費用ページ」「特定分野の解説記事」など、本来集客に効くはずのページが検索結果で埋もれてしまいがちです。
そこで鍵になるのが、サイト内のページ同士をつなぐ「内部リンク」です。内部リンクを戦略的に最適化することで、検索エンジンに事務所の専門分野を正しく伝えつつ、見込み顧客を迷わせることなく重要ページへと導けるようになります。
本記事では、法律事務所・弁護士サイト特有の構造を踏まえながら、内部リンク施策の考え方を解説します。
「たかがリンク、されどリンク」内部リンクのSEOとUXにおけるポイント

内部リンクは、SEO対策の基本となる施策です。内部リンクは、検索エンジンにページ同士のつながりや重要度を伝える役割をもっており、どのページが中心で、どのページがそれを支える補足情報なのかを理解させます。
同時にユーザーにとっては、知りたい情報へ迷わず進めるようにする役割があり、読み進める流れを途切れさせないための導線でもあります。
例えば、「残業代請求の基礎知識」といったコラムがよく読まれている場合、このページから「残業代請求の流れ」や「弁護士に依頼するメリット」「相談フォーム」などのサービスページへ内部リンクを設置するとします。
そこで読者は「概要を知る → 自分のケースに当てはまるか確認する → 相談してみる」という段階を自然に踏むことができます。
単なる情報収集で終わらず、問い合わせにつながりやすくなるうえ、アクセスの集まるページからサービスページへ評価が流れることで、検索エンジンからも重要ページとして認識されやすくなります。
そのため内部リンクは、「たかがリンク」と軽視すべきものではなく、SEOとユーザー体験の両面からサイト全体の成果を底上げする、戦略的に設計すべき重要な要素なのです。
法律事務所のホームぺージでありがちな内部リンクの失敗例
次に法律事務所ならではのありがちな失敗例を解説します。
コラム記事は増えているのに、業務ページにリンクが無い
多くの法律事務所で見られるのが、コラムの更新だけが積み重なり、肝心の業務ページと結びついていないケースです。コラムは読者が最初に訪れやすいページですが、その先へ進む導線が無ければ、せっかく興味を持ってもらっても「読み終わったら帰る」だけのページになってしまいます。本来なら、記事の中で触れた制度や手続きに合わせて、関連する業務内容のページへ自然に案内するのが望ましい形です。
またSEOの面でも、アクセスの多いコラムから業務ページへ内部リンクを張らないと、検索エンジンはその業務ページを「事務所の主軸」として認識しづらくなります。法律分野は専門性が高く、同じテーマでも内容の深さや視点が変わるため、コラムとサービスページの役割分担が明確であるほど、サイト全体の評価が安定します。コラムが増えるほど内部リンクの不足は目立つため、更新と同時に導線を整えることが大切です。
トップページから業務ページへ直行できない
トップページは事務所の第一印象を決める場所であり、利用者が訪れやすいページでもあります。そのため、主要な業務ページへ迷わず進める構成であることが欠かせません。
しかし、実際には「代表あいさつ」「事務所案内」「お知らせ」などが前面に出すぎてしまい、肝心の業務分野への入り口が分かりにくくなっているサイトをよく見かけます。
法律相談を求める人の多くは、訪問した瞬間に「自分の悩みに対応している事務所なのか」を知りたいものです。離婚、相続、交通事故、労働問題など、主要な分野へ一歩で入れる導線が用意されていれば、必要な情報にすぐ辿り着け安心感が生まれます。
反対に、いくつもの階層を経ないと業務ページに到達できない場合、途中で迷ってしまい、閲覧をやめてしまうことも珍しくありません。トップページはただ情報を並べるのではなく、「まず見るべきページ」を案内する役割を持っています。
似たページが多くてクローラーが迷う
法律分野は扱うテーマが細かく分かれやすく、同じジャンルの中で似た内容のページが増えがちです。たとえば交通事故であれば、慰謝料、後遺障害、過失割合、示談の流れなど、関連テーマが自然と並びます。
しかし、これらの内容が整理されないまま個別にページ化されると、検索エンジンは「どれが中心のページなのか」を判断できず、評価が分散してしまいます。
さらに、ユーザーから見ても似た題名が並んでいると、どれを読めば良いのか迷い、同じページを行き来したり、途中で読むのをやめたりすることがあります。本来は、まず全体像を示す総まとめのページを設け、そのうえで詳細を解説するページへつなぐ構成が理想的です。
この“親と子”の関係がきちんと整理されると、検索エンジンも情報のまとまりを理解しやすくなり、評価が適切に伝わるようになります。
内部リンクによって評価を集中させるメリット

次に内部リンクを設置することによるメリットを解説します。
ページ同士の関連度が高くなり評価が上がる
内部リンクによって同じテーマのページを結びつけることで、サイト全体の「情報のまとまり」が明確になり、検索エンジンはその分野に強いサイトだと判断しやすくなります。
内部リンクが評価にどう影響するかについて、海外の調査会社 Zyppy 社は1,800サイト・2,300万の内部リンクを分析しています。この調査では、内部リンクが0〜4本しか付いていないページに比べ、40〜44本の内部リンクを受けているページは、Google検索での平均クリック数が約4倍に増えるという結果が示されました。評価の集まり方がアクセスにも直結していることがわかる興味深いデータです。
一方で、45本以上になるとクリック数がむしろ下がる傾向も確認されています。リンクの量が多すぎると、テーマの一貫性や関連性が薄まり、評価が分散してしまう可能性があるためです。
ユーザーのサイト滞在時間が長くなる
ユーザーがサイトを訪れたとき、次に読みたい情報へ迷わず進めるかどうかで滞在時間が変わります。内部リンクが十分でないサイトでは、「どこに必要な情報があるのか」が直感的にわからず、途中で閲覧をやめてしまうことが多くなります。とくに法律相談に関する情報は、ユーザーが知りたいことが段階的に変化するため、その流れを自然につないでいく導線が求められます。
例えば、残業代請求の基礎知識を読んだユーザーが、次に「請求できる条件」「相談した場合の費用」「過去の解決事例」などを知りたいと感じたとき、本文中に適切なリンクがあれば、次のページを読み進めることができます。「読みやすさ」は、結果的に滞在時間の延長につながり、サイト内の複数ページを閲覧してもらえる機会が増えます。
滞在時間が伸びることには、情報提供という観点でも大きな意味があります。せっかく時間をかけて作成した良質なコンテンツであっても、ユーザーに読み進めてもらえなければ価値は十分に発揮されません。内部リンクを整えることで、ユーザーが必要な情報にスムーズにたどり着けるようになり、コンテンツが持つ“読まれる機会”を広げることができます。
クローラーとユーザーに優しい「ピラミッド構造」
内部リンクを設置する場合はサイト全体の構造を設計する必要があります。どの記事にアクセスを集めたいのか、あるページを読んだあとはどのページを見てほしいのかなどです。ここではページ構造について解説します。
テーマごとにまとめて伝える“トピッククラスター”
トピッククラスターとは、大きなテーマを中心に、その周囲へ関連内容を深掘りする補助ページを配置し、内部リンクで結びつける構造のことです。中心となる「ピラーページ」が全体像を示し、補助ページがそれぞれの要素を詳しく説明するため、ユーザーは段階的に理解を深めることができます。たとえば「SEO対策」という基幹ページがあり、その周囲に「タイトルタグの整え方」「メタディスクリプションの考え方」「内部リンク最適化の方法」などが並ぶイメージです。
この構造が効果的なのは、検索エンジンに対して“情報のまとまり”を示せる点にあります。同じテーマが体系的に整理されているほど、専門性と網羅性が明確になり、検索評価も安定しやすくなります。
また、ユーザーにとっても話題の関連性がわかりやすく、次に読むべきページが自然と見つけられるため、サイト内の回遊性が高まります。とりわけ法律事務所のように、専門分野ごとに情報が増えるサイトでは、「テーマ単位で整理する視点」が重要になります。
トップページを起点にした案内設計
ほとんどのサイトの場合、評価が一番高いのはトップページです。検索エンジンが最初に注目する場所であり、ユーザーにとっても最初に状況を確認するページです。そのため、トップページからどのページへ、どの順序で案内するのかは、内部リンク戦略の中心になります。
重要なのは、ただ多くのリンクを並べるのではなく、「どのページを優先して見せたいか」を整理することです。主要な取扱分野、料金案内、相談の流れ、相談フォームなど、ユーザーが早い段階で欲しがる情報にすぐ進めるようにしておくと、迷いが生まれにくくなります。
さらに、ファーストビューやグローバルナビゲーションといった目に触れやすい場所に導線を置くことで、検索エンジンとユーザーの双方に価値のある構造になります。
効果を最大化する内部リンクの最適化テクニック
ここでは内部リンクを「どこに」「どのように」設置すべきかを解説します。
グローバルメニュー(ナビゲーション)の設計
グローバルメニューは、サイト内の主要ページへ一歩で移動できるようにする案内板の役割を担っています。とくに法律事務所のサイトでは、「取扱分野」「費用」「相談の流れ」「事務所案内」など、利用者が最初に確認したい項目を明確に並べることが重要です。
テキストで構成するのが一般的で、画像を使う場合は検索エンジンが意味を理解できるようにalt 属性の設定を忘れないようにします。ナビゲーションが整っていると、ユーザーは迷いなく必要なページへ移動できるため、全体の回遊性と信頼感が自然と高まります。
サイドメニュー・フッターリンクの活用
サイドエリアやフッターは、内部リンクを安定して配置できる場所です。サイドには、問い合わせにつながりやすい「よく読まれている記事」や「主要な業務ページ」を置くことで、ユーザーが別の情報にも自然と目を向けられるようになります。
一方、フッターはサイト全体の“まとめ”として使われ、関連カテゴリーや事務所情報、その他の付帯情報へスムーズに移動できる役割を持っています。ページ数が増えると全体像が掴みにくくなるため、サイド・フッターのリンクは「迷ったらここに戻れば理解できる」という安心感があります。
内部リンクで信頼されるサイトへ!定期的なチェックと改善のサイクル
内部リンクは一度整えて終わりではなく、サイトの更新に合わせて見直していくことで効果が続いていきます。コラムが増えれば新しい導線が必要になり、業務ページを修正すれば、それに合うリンクの貼り替えが求められるなど、時間の経過とともに最適な構造は変化します。定期的に「どのページが読まれているか」「主要ページに適切に案内できているか」を確認し、リンクを追加・整理することが大切です。
内部リンクが整ったサイトは、検索エンジンにとってもユーザーにとっても理解しやすくなり、専門性や信頼性が自然と伝わります。法律事務所のように、利用者が不安を抱えた状態で訪れるサイトでは、必要な情報に迷わずたどり着ける構造そのものが信頼につながります。小さくても着実な改善を積み重ねることで、サイト全体が強くなり、問い合わせにもつながりやすくなります。内部リンクの見直しを習慣にし、安心して閲覧できるサイトを育てていきましょう。
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